◎【40番井上睦子議員】
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それでは、まず、人間らしい生活を保障する生活保護制度について、お伺いをいたします。
生活保護受給者は、高齢化や近年の経済不況によってますます増加をしています。2004年には月平均の被保護人員が6,082人であったものが、2008年度には8,933人となり、保護率は11‰から15.6‰へと大幅に増加をしています。
受給者の急増に対応して、ケースワーカーの増員をたびたび指摘してまいりました。市でも増員の努力がされてまいりました。以前の資料では、2007年には高齢者担当の嘱託職員のケース担当数は180件、2008年には少し改善されて160件でした。正規職員はこの2年間、120件から130件となっています。
2009年4月現在、受給世帯は6,509世帯にもなっています。国の標準、80世帯から計算をすると、現在、八王子市役所ではケースワーカーは81人が必要となってきます。
現在、ケースワーカーがどのような配置をされているのか。そして、この間、どのように増員がされてきたのか。また、現時点ではケースワーカーの担当件数、嘱託職員と正規職員、それぞれお答えいただきたいと思います。
ことし3月3日の読売新聞では、「生活保護支援ケースワーカー悲鳴」「1人で100世帯、もう限界」という見出しで、各自治体の担当者の声が紹介されています。高齢者の単身世帯や精神障害者、薬物依存者などの支援がふえ、困難なケースが増加をしているということや、事務処理に追われて家庭訪問が十分にできないという悩みを、多くのケースワーカーが持っているということが紹介をされています。
現在、標準より1.5倍以上もの担当数、120件であるとすれば1.5倍以上になりますけれども、受給者に対して丁寧な援助ができているのか。また、困難ケースに対応する専門的な技能取得ができているのか。そういった問題があると思いますが、現状ではケースワーカーはどのような問題を抱えているのか、お示しいただきたいと思います。
次に、孤独死の問題についてです。だれにもみとられずに亡くなる孤独死というのは、大きな社会問題でもあります。孤独死を防ぐために、包括介護支援センターなどを中心に、高齢者の見守り活動が行われておりますけれども、残念ながら、生活保護受給者の孤独死も起きています。昨年度の状況についてお答えください。
こうした受給者の孤独死という事態を行政はどのように受けとめ、これを防止する手だてについてはどのように考えているのか、お示しいただきたいと思います。
群馬県渋川市の静養ホームたまゆらの火災で10人の高齢者が亡くなりました。この事件は、生活困窮者の高齢者の住まいが東京にはなく、無届けの地方の施設にこうした高齢者の住まいを依存しているという実態が明らかになりました。
八王子市でも、新聞の報道によると、市からのあっせんではなく、入院先からの紹介や、申請時点で入所が決まっていたということですけれども、静岡県内の2ヵ所の施設に9人の方が入所をしておられます。東京都は、有料老人ホームの届け出のない施設の利用を勧めるのは、行政の指導が及ばないため、好ましくない。やむを得ず利用する場合は、現地の福祉事務所との協議をすること。そして、入所中は、1年に最低2回は訪問をし、生活実態を把握することを通知しています。
これまで施設への訪問や、施設の安全性についての確認、現地福祉事務所との協議などはどのように行われてきたのか、お伺いをいたします。
また、入所者の金銭管理、介護の必要性、介護保険の利用など、ケアは適切に行われているのかという生活実態については、どのように把握をしているのか、お伺いをいたします。
東京都は無届け施設への入所は好ましくないとしており、たまゆら火災の教訓からも、行政の指導監督が及ぶ市内施設への入所などの対応が求められると考えますが、今後の入所者への市としての対応をお聞きいたします。
次に、貧困ビジネスの問題についてお聞きをいたします。第2種社会福祉事業所の宿泊所といわれる施設を、八王子市の生活保護受給者では248人が利用しています。市内の施設の利用は73人、市外は175人となっています。宿泊所のすべてが問題だとは言えませんけれども、貧困ビジネスとして大きな問題になっている事業所もあります。ホームレスやDV被害者へのサポートなど、丁寧で信頼を得ている事業者も中にはありますが、NHKの「クローズアップ現代」で貧困ビジネスとして取り上げられた法人が運営をする施設も、この248人が利用している施設の中には含まれています。
報道では、この施設からの脱出をサポートしたNPO法人や入所者の証言などによって、生活保護を申請させて保護費のほとんどを受け取る宿泊所の実態が明らかになりました。そこから出たくても、生活保護費を失うことになるので、抜け出せない人も多いということです。
また、他の宿泊所では、1人の場合、家賃5万3,700円、食費、朝夕の2食で3万6,000円、管理費1万4,300円、合計10万4,000円の利用費がかかっています。1人の生活保護費は、家賃を含めて約13万円。利用料を払えば、手元に約3万円弱しか残りません。これで昼食代や交通費、日用品、被服費などを賄い、将来の自立につなげていくということは大変難しいと思われます。
市は、宿泊所の金銭管理や、高過ぎる家賃や食費、そしてプライバシーの侵害などの問題について、適切な運営ができているかどうかについて、宿泊所の状況を把握しているのでしょうか。お伺いをいたします。
市内にある宿泊所の施設は3施設です。しかし、市の生活保護受給者が利用している施設は数十ヵ所にも及んでおりますけれども、こうしたすべての宿泊所が適切な運営ができているのかどうか把握をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
次に、川口地区の物流拠点整備事業について、お伺いをいたします。
昨日は、推進をしてほしいという方の質問がありましたけれども、産業廃棄物には反対をして、緑を守ろうと言いつつ、川口地区物流拠点については緑をはがして進めるということに、大変違和感を感じました。
ことしの3月、住都公社より基本計画案、市から基本方針が示されました。想定スケジュールによれば、ことし8月、準備組合が結成をされ、業務代行予定者の選定を行うということになっています。事業区域は172.8ヘクタール、41.7ヘクタールが業務用地となります。
まず、この事業による環境への影響について、お伺いをいたします。緑の基本計画の素案によれば、2007年の時点の緑の緑被率62%、約1万1,548ヘクタールを目標とするというのが2019年の目標であります。すなわち現状維持で、緑地は減らさないという方針になっています。
また、地球温暖化対策推進計画では、2000年比に対して2019年25%、CO2を1人当たりの排出量として削減をしていくという取り組みが示されています。
CO2の削減について、各分野別の取り組み方針を見てみると、まず、事業者からのCO2の排出削減を推進すること。また、交通分野での対策を推進して、自動車利用の抑制、自動車から発生するCO2の削減を行うこと。また、吸収源として緑の保全をするということが、重点分野と分野別の取り組み方針として出されています。
この物流計画は、こうした緑の基本計画や地球温暖化対策の推進計画から見ても、逆行するような計画に思われますけれども、市は緑被率をこのまま維持をするというふうにしておりますけれども、では、こういう計画を前提にしながらどのようにして緑被率を維持していくのか、お答えをいただきたいと思います。
また、CO2の発生の問題でありますけれども、この計画によってCO2はどのくらい発生をするのか。そのことを試算しているのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
この事業計画によって地球温暖化、2000年比25%のCO2の排出量を実現するということは可能なのかどうか、お答えいただきたいと思います。
次に、財政に対しての影響であります。事業化調査の段階では、都の補助金14億7,000万円を充てるとしておりましたけれども、基本計画では、国庫補助金14億5,700万円のうち3億6,400万円の市負担が発生しています。このように、財政フレームが変更した理由というのを明らかにしていただきたいと思います。
市の財政は経済不況に伴って極めて厳しい状況で、さまざまな事業の見直し、凍結もされなければいけない時期でありますけれども、3億6,000万円もの負担が発生するということについて、市は了解をしているのか。このことは市の財政運営上、どのような影響が出るのか、明らかにしていただきたいと思います。
北西部幹線については、巨大な財政負担から実施計画の凍結や見直しということも、予算等審査特別委員会の答弁の中で、夏以降検討するということでありました。財政調整基金も底をついているという状況であります。昨日の答弁では、説明会、測量まで行うということでありましたけれども、北西部幹線の財政的な実現可能性についてどのように考えているのか、明らかに根拠を示していただきたいと思います。
また、物流拠点と八王子西インターチェンジを結ぶ物流専用道路の財政負担についても、その見通しをお伺いいたします。
次に、この事業の困難性について、お伺いをいたします。
市長は3月に開催された住都公社の評議員会で、経済状況が厳しい中で事業を行うことについては慎重にと答弁をしておられました。5月の評議員会で、この慎重に行うということは、業務代行者が出てくれば事業を行う。出てこなければ事業を行わないことだと答弁をされました。
想定スケジュールによると、ことしの8月、業務代行予定者の選定、2013年6月に業務代行者を確定して事業が進むとなっています。このスケジュールでは、ことし8月の業務代行予定者は公募で行い、その業務代行予定者が、2013年6月に正式な契約を行う業務代行者となるのか。そのスケジュールと仕組みについて明らかにしていただきたいと思います。
事業概算フレームでは、総事業費216億4,400万円のうち、補助金は18億700万円、残金の約200億円を保留地の処分によって行うことになっています。地権者の負担は発生をしないというフレームになっておりますけれども、しかし、保留地の処分が進まなければ、地権者のリスクが発生いたします。業務代行制度の活用は、このリスクを回避するためだとしておりますけれども、どのような仕組みがリスクを回避できるという仕組みになっているのか、明らかにしていただきたいと思います。
生活保護世帯の急増でも明らかなように、昨年の秋以降の急激な世界金融危機、金融恐慌と言う学者もおりますけれども、各国が景気対策への財政出動をしており、巨大なGMが倒産をする、あるいは各大企業が大幅な減収をしているという状況。極めて最悪の経済状況のタイミングだというふうに思いますけれども、この年の8月に準備組合を設立して、業務代行予定者を選定していくというスケジュールは、この実現性があるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
そして、川口のこの物流拠点整備に対して、進出を希望している企業というのは、市行政の方に問い合わせなり、そういった希望がどんどん来ているという状況なのか、お伺いをして、1回目の質問を終わります。
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