◎【40番井上睦子議員】
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生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、上程されました各議案について質問をいたします。
第59号議案、非常勤の特別職の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例設定についてお伺いをいたします。
これは政治倫理審査会委員の報酬を定めるもので、あわせて補正予算には政治倫理審査会の設置経費が計上されています。八王子市政治倫理条例の制定については、昨年9月、私たち13人の議員が共同提案した条例案と、本年2月に自公両党によって提案をされた条例案について、長時間にわたる審議の結果、3月6日の本会議で残念ながら自公案が可決をされ、3月9日公布をされています。条例の施行に向けて準備が進んでいると考えますが、施行日はいつになるのか、お伺いをいたします。
条例では、政治倫理審査会委員は、社会的信望があり、地方行政に関し識見の高い者のうちから市長が委嘱することとなっています。審査会委員には、弁護士や司法書士、税理士、公認会計士など専門的な知識を有する者が選任されるのか、どのような人選が進んでいるのでしょうか、お答えください。
また、審査会の設置の時期についてもお伺いをいたします。
政治倫理条例は、政治腐敗の防止と政治倫理の確立を目的とし、実効性のあるものでなければなりません。しかし、成立した条例は、第5条、請負契約に関する遵守事項で、請負辞退ではなく自粛としたこと、親族企業の対象は一親等内に狭め、市長または議員が年額300万円以上の報酬を受領している法人、あるいは経営方針または主要な取引に関与している法人等を除外するなど、政治腐敗の防止に実効性がないことを私どもは議論の中で指摘をしてきました。また、市民の定義について整合性のない矛盾した答弁がされ、立法作法としても問題があることを指摘をしてきました。このことは、規則で定めるべき事項や条例運用に混乱をもたらすのではないかと考えています。現在、規則は策定中だと思いますが、規則で定めるべき事項についてはどのような検討が進んでいるのか、お答えください。
また、自粛としたことで、私たちの案にあった兼業・兼職報告書の提出の義務づけはされておりません。自粛とした理由について、提出者は、上位法の憲法、地方自治法とのそごを生じることになるので、請負契約に制限をかけるべきではないとし、具体的に何件の募集があって何件とったら自粛なんだというように数字的に示すことは非常に難しいと答弁をしています。他の提出者は、自粛を担保するものとして、一親等の親族企業の内容を市に提出し、その法人企業が応札をした場合は規則で公表し、社会的な説明責任と社会的制裁を負うことになると答弁をしています。自粛とは法的な拘束力がありません。以上のような答弁を踏まえ、第5条、市との請負契約に関する遵守事項にかかわる点について、どのように規則で定め、運用をしていくのか、お聞きをいたします。
さらに、第5条に関して、市民が政治倫理基準等に違反する疑いがあると政治倫理審査会に調査請求した場合、調査の対象となるのでしょうか。提出者は、自粛というのは、事業者が10の仕事をする能力があって、そのうち例えば5でとどめておくのも自粛の一つであり、全くとらないのも自粛であり、外側から判断するのが極めて難しいと委員会で答弁をしています。判断をゆだねられる委員──政治倫理審査会委員は大変困惑をすると考えますが、第5条と第9条の政治倫理基準違反の審査との関係、そしてその運用についてはどのようになるのか、お答えください。
また、提案者は、黒須市長にとっては一親等の方が現在黒須建設の役員をしているわけだから、黒須建設の方が何らかの形で自粛という方向に努力をしてもらう。あるいは、役職を解任して別の形でやっていただく。ただし、そこで名前だけ変えたということにはならないよう、そこはきっちりとまた規則でフォローしていただきたいとも答弁をしています。これは名義だけ変えて実質的には経営に参画することを排する規定が必要だとの認識を示したものですが、このような場合、どのように規則に定めることができるのでしょうか、お聞きをいたします。
市民の定義が明確に定められないことについての問題です。第3条では、「市民は、主権者としての責任を自覚し、」というふうに定め、市民の責務の「市民」の定義について、審議では、事業者を含むとの答弁がありました。しかし、主権者は通常自然人を指すものであって、事業者ではありません。また、市民の調査請求権については、本会議の討論の中で提案者から、地方自治法第18条で規定をする要件を備えた市民として規則で明記すると答弁が変更をされました。このように条例で正確に市民の定義がされていない欠陥が明らかとなっています。調査請求権という市民の権利に関する規定を規則で定義するというのは正しくありません。条例に市民の定義をきちんと規定すべきではないでしょうか、お伺いをいたします。
市長は予算総括質疑でも先日の一般質問でも、条例施行後も親族企業は市の公共事業に参入するのか、あるいは役員変更についても、市長は、そのことについては承知をしていないという答弁でありました。しかし、条例施行後は親族企業の役員や市事業への参入については知っていなければならない立場です。条例が施行される第3回定例議会にははっきり答えられるように準備をしていただきたいと申し上げておきます。
次に、第60号議案、八王子市市税賦課徴収条例の一部を改正する条例設定についてであります。
2009年度補正予算や地方税法の改定では、経済危機への対策として、住宅不動産市場の活性化のために、住宅取得に関する優遇策が盛り込まれました。個人市民税では住宅ローン特別控除や土地等の長期譲渡所得にかかわる特別控除が創設をされました。土地の長期譲渡所得に対する特別控除は、2009年1月1日から2010年12月31日までの間に国内にある土地を取得し、その土地等を5年以上所有し、その後譲渡した場合、その譲渡所得の金額から最高1,000万円が特別に控除できるというものです。こうした税制改正による影響額や経済対策としての効果についてお伺いをいたします。
居住用不動産の特別控除や収用等の特別控除は、生活用不動産の売却であるとか、自分の意思に基づかない収用という特別な場合だから税金を軽減しようとするものですけれども、今回の改正に盛り込まれた特別控除最高1,000万円は、特別の場合でなくても税金を軽減しようとするものです。経済対策なのですが、課税の公平という観点から見るとこれは問題があるのではないでしょうか。収用等の場合の特別な手当は済んでいるのに、担税力が十分にある一般の譲渡にまで多額の特別控除を認める必要があるのでしょうか。例えば対象となる土地の譲渡利益を1,000万円とした場合、特別控除を1,000万円使えるので、特別控除後の譲渡利益はゼロ円となります。個人の長期譲渡所得に対する税率は、所得税15%、住民税5%の合計20%になりますから、200万円の減税となります。また、認定長期優良住宅にかかわる固定資産税は、減額措置の適用期間が一般住宅より2年延長されます。こうした税制改正は、値上がり確実な土地や長期優良住宅を購入できる経済状態にある人、すなわち富裕層にとっては大変有利な制度と言えます。2009年度補正予算では贈与税の軽減が行われ、加えてこうした特別控除の創設などは富裕層を一層優遇する格差拡大の税制と言えるのではないでしょうか、お伺いをいたします。
次に、第62号議案、廃プラスチック中間処理施設建設工事請負契約の締結についてであります。
廃プラスチック処理施設については、2005年に南大沢に近接する町田市の廃プラスチック施設の建設計画を撤回させた八王子や町田の市民の住民運動がありました。施設の安全性が最大の反対の理由でした。プラスチックが圧縮されると、こすれたり、つぶれたり、破れたりすることで、さまざまな化学物質が発生し、人体に有害な物質も発生することが実験で確かめられています。北河内4市リサイクル施設組合が行った実験による廃プラスチック圧縮の模擬試験では、さまざまな有害物質だけではなく、毒性のわからない未知の化学物質も発生をしています。さらに、発生した化学物質を外に出さないために、完全に取り除くことができるのかという問題があります。さきに紹介をした北河内4市リサイクル施設組合が行った実験では、活性炭により化学物質の90%以上が除去されたとしています。しかし、残りの10%の化学物質が人体に及ぼす影響については、現在の試験ではわかっておりません。また、廃プラスチックの処理量がふえれば化学物質の量も増加し、活性炭の除去能力も徐々に低下していくので、周辺の大気中へ出ていく化学物質はふえていくと言われています。
廃プラスチック中間処理施設については、調査研究協議会で検討がされてきました。処理施設の安全性を確保することは、周辺住民やその処理施設で働く職員の健康にとって最も重要なことです。昨年度の協議会の議論の中では、現状では低濃度の揮発性有機化合物、TVOCと言われておりますけれども、これの有効な処理方法が確立していないとの説明や、委員から、TVOCがすべての物質ではなく、ある特定の物質を指している。どのような基準でどのような物質を監視していくのか、方向性を議論し、実施計画の中で決めていくとの発言があり、安全対策については万全という段階ではないのかと思います。施設の安全性については、室内の臭気について活性炭吸着装置で、圧縮こん包機周辺の排気では光触媒と活性炭吸着装置の2段階の対策をとると調査研究報告書が出ています。この対策によって安全性は確保できるのか、未知の化学物質の発生に対しての管理や対応策についてお伺いをいたします。
また、地元住民との合意についてはどのようになっているのか、お聞きをいたします。
廃プラスチックのリサイクルは、プラスチック包装容器の発生抑制にはなりません。リサイクルすれば使用してもよいということになります。ごみ減量は、リサイクルではなく、発生抑制が第一に考えられなくてはなりません。プラスチックの発生抑制は、レジ袋をやめてマイバッグをという取り組みしかありませんが、これでは限界です。ペットボトルやプラスチックなどの発生抑制、源流から発生をさせないという施策に取り組むべきでありますけれども、今後の方向性についてお伺いをいたします。
最後に、第66号議案、中央地域新設総合事務所の取得について及び第67号議案、新市民会館の取得についてお伺いをいたします。
JR八王子駅南口再開発については、特定業務代行者が指名停止中の大林組であるということの問題点を指摘をしてきました。新市民会館の内装設備の分離発注については、市が大林組と長い間交渉をしてきましたけれども、残念ながらその成果を得ることなく分離発注を断念しています。保留床の取得に関しては、2006年12月14日、保留床の取得に関する覚書、そしてその後、2008年の2月8日に保留床の取得に中央地域新設総合事務所を加えて、保留床の取得は、2009年の保留床譲渡契約に関する議会承認後、速やかに本施設に関する保留床の譲渡契約を締結するものということが再開発組合との間で覚書が交わされております。今回提案されてきた市民ホールと総合事務所の取得費の問題について、先ほども質疑がありましたけれども、まず取得費の交渉経過について詳細にお尋ねをしたいと思います。これは、従前より再開発組合が東京都の認可を受けた事業費の中で交渉してきた結果であるというようなことが報告をされました。再開発ビルの中には、商業や業務床という部分もありますし、市が取得をする予定の公共部門の保留床もあります。収益性の点から見てみると、その保留床を取得して、商業・業務床はそこから収益を上げていくわけですが、公共施設の公共部門はそこから収益を上げるという性格は持っておりません。JR八王子駅南口再開発事業については、保留床の65%を市が取得するということによって事業が成立をしてきたという背景があります。取得費の交渉経過において、公共部門は収益を上げないのだから商業や業務床とは異なった取得費、保留床の価格ということで交渉をしてきたのかどうか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
先ほど不動産評価審査会の御報告がありました。約30分程度この件についてはお話がされたようです。2者からの不動産鑑定の報告が出されておりますけれども、鑑定書の妥当性についてはこの評価審査会の中で審査をしたのかどうか、その評価はどうであったのか、お伺いをしたいと思います。
例えば評価内訳書を見てみますと、足立不動産の場合、市民ホールの土地配分率は、ことしの2月の修正時点で31.92%、建物は30.54%、日本鑑定の場合には、土地配分率が32.8%、建物は30.78%となっています。先ほど配分率についての議論があったようでありますが、こうした2者の平均30%前後の土地、建物配分率が妥当であるというふうな結論を得たのかどうか、お伺いをしたいと思います。
また、用途別コストでは、足立不動産が総合事務所で92、市民ホールで165となっています。日本鑑定の方は、このコスト比が明確に出ておりません。こうした内容を精査しながら、不動産鑑定と、そして再開発組合から提示をされた取得費についてどのような議論があったのか、詳細にお示しをいただきたいと思います。
また、再開発組合が提示をした取得価格の根拠について、これは長年にわたって協議をした結果だということで、その根拠が示されませんでした。例えば2つの不動産鑑定では、土地、建物がそれぞれ幾らの価格になるので、全体、総体としては幾らの金額だということが出ているわけです。例えば新市民会館では、日本鑑定は113億4,280万円、足立鑑定では112億7,762万円というふうに出ているわけです。こうした土地あるいは建物がどのような内訳で、新市民会館106億7,200万円、総合事務所8億9,200万円という価格になったのか。すなわち、土地、建物の内訳が示されているのか、お伺いをしたいと思います。
昨年の8月に事業計画が変更された時点で、組合負担金として保留床処分費を含んで290億3,700万円という数字が出ています。そして、国、都、市の財源を加えて再開発ビルの総事業費は、昨年の8月の事業計画変更時点で351億5,300万円と出ています。この総事業費351億5,300万円が南口再開発ビルの建物と土地価格だと考えてもいいと思うわけですが、足立鑑定では、この土地、建物価格全体が365億円、日本鑑定では362億円となっておりまして、10億円以上の評価の差が出ているわけです。配分率を30%としますと、約3億円もの差が出てくるのではないかと。私は不動産鑑定についてはよくわかりませんけれども、そのように疑問を感じたわけです。こういった点について不動産評価審査会では議論があったのかどうか。なかったとすれば、市側担当者、再開発推進室の方はこの点についてはどのように認識をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
市がさまざまな建物を建設、公共施設を建設するときには、土地を取得し、建物の建設については、競争入札にかけて、総体としての費用が透明化をし、そして競争性を持って決定をしていくという過程が明確であります。しかし、再開発ビルの今回提示をされた市民ホールと総合事務所の取得費、保留床の価格については、協議をしてきたというだけで、その根拠が示されません。再開発ビルの中での価格の決まり方というのは透明性や競争性がなく、市民にはなかなかわかりづらいものとなっています。明確にこの点についての根拠、そしてその妥当性を説明されませんと、再開発組合側から提示した金額をよしとして、それに追認をするという結果に市側はなるのではないかという疑問を抱くわけでありますけれども、再開発組合の価格提示というものは妥当であるのか、妥当であるとすれば、その根拠をお示しいただきたいと思いますし、市長には、この間、南口再開発事業について、公共部門がかなりの補助金と、それから保留床の取得というところで、事業の成立に多大な努力というか、協力をしてきたわけです。その価格の決定についても再開発の組合が提示をした、その言うままの価格をよしとするのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
以上で質問を終わります。
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