◎【40番井上睦子議員】
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2010年度八王子市一般会計予算及び各特別会計予算並びに関連する諸議案について、生活者ネットワーク・社会民主党を代表して、質疑を行います。
まず、財政運営とまちづくりについてであります。
昨年8月の総選挙によって政権交代をいたしました。旧自公政権は社会保障費を毎年2,200億円も削減し、医師不足などの医療崩壊をもたらし、障害者自立支援法や後期高齢者医療制度による負担増加を強いてきました。また、製造業務などへの労働者派遣を解禁した法改定によって、非正規の労働者を大量に生み出し、格差を拡大し、貧困が増大したと言えます。
前政権の負の遺産を背負ってスタートした新政権は、内需主導の経済への転換や国民生活の建て直し、そして、財政再建など多くの課題に直面しています。2010年度国の予算は、公共事業関連経費は前年度と比べてマイナス18.3%、社会保障関連費はプラス9.8%と、「コンクリートから人へ」と、その予算編成も大きく変化をしました。
新政権の政策の変化として子ども手当が挙げられます。子育ては個人の責任から社会的に子育てをし、その費用は社会全体が助け合い、負担をするという考え方に大きく転換したものです。同じような考え方に基づいて、公立高校の授業料無償化や、そして私立高校生への就学支援金の創設、また、生活保護の母子加算の復活、父子家庭への児童扶養手当の支給が実施されます。批判の強かった障害者自立支援法は早期の廃止に向けて検討が始まり、低所得者の福祉サービス、補装具については利用者負担を無料とし、負担軽減を図っています。また、雇用保険への加入の緩和、10年ぶりの診療報酬総額のプラス改定など、前政権で弱体化した福祉や医療、雇用などの建て直し、すなわち生活再建への一歩が始まったと考えております。
市長は、こうした新政権による政策の変化について、市民の暮らしに責任を持つ自治体の長としてどのように評価をしているのか、お聞きいたします。
次に、市税収入と財政再建についてお伺いいたします。
新年度の一般会計は、前年度より5.6%増の1,939億円、特別会計は1.0%減の1,465億円の前年度より減少した規模となりましたが、市税収入は2009年度当初予算と比べて42億円減額の888億円となっています。税収不足に対応するために臨時財政対策債を60億円借り入れし、財政調整基金を59億5,000万円取り崩すという大変厳しい経済状況を反映した予算編成となっています。
その結果、全会計で市債発行額は191億6,000万円、公債費残金は204億5,000万円で、返す以上に借りないという財政再建の方針は辛うじて守られていますが、一般会計では借りる方が2年連続多くなっています。また、財政調整基金の残高は、新年度末では8億円でしかありません。60億円から70億円を目標に積み立ててきたことを考えても、安定した財政運営とは言いがたくなっています。
2009年度は市税収入を32億円減額補正いたしました。2010年度は当初予算どおり確保されなければ、市長が提案説明で述べている市債残高の数値目標2,300億円台を達成できず、財政再建の方針は守られないということになります。補正予算の審議では、川村議員から、市税収入見込みを歳出に合わせて過大に見積もったのではないかと指摘がありましたが、888億円の市税は確保されるのか。また、その根拠となる経済見通しなどについてお答えください。
市長は、就任以来、財政再建に積極的に取り組み、3,200億円あったものを約800億円減らし、2,400億円台、これは2009年度決算の見込みで、そこまで行くということになっております。このように市債残高を縮減してきたことは高く評価するところですけれども、新年度もこの目標は達成できるのでしょうか。お伺いをいたします。
次に、川口物流等の開発計画についてお伺いをいたします。
総事業費200億円の物流拠点の事業化に向けて、川口土地区画整理組合設立準備会が1月29日、結成されました。しかし、この計画は、緑を3分の1削り、CO2を排出し、自然環境や住環境に大きな影響を与え、壊していくものです。また、440億円もの財政負担となる北西部幹線の延伸や圏央道西インターのフル化など、道路網の整備ができなければ実現不可能な計画ですが、新政権は公共事業関連の予算を削減しています。特定業務代行でこの事業を実施するとしておりますけれども、南口再開発事業では事業成立のために保留床の買い取りをしたように、住宅・都市整備公社が保留地を買い取るという財政負担のリスクも大きいと言えます。
また、旭町・明神町地区の再開発に向けた調査委託料が計上されています。懇談会では、10年後の開発の実現を目指し、次期ゆめおりプランへの反映を視野に入れるとしていますが、総事業費は幾らと想定しているのでしょうか。そして、このような開発計画は、大変厳しい財政をさらに圧迫していくことは必須です。川口物流などの開発計画の中止をすべきではないでしょうか。再三市長も今回の新年度の予算編成は大変厳しかった、経済状況も厳しいと言われている中で、この計画を押し通すという理由を私は見つけられませんけれども、いかがお考えでしょうか。
次に、新しい総合計画の策定についてお伺いいたします。
先ほども同様の質疑がありましたけれども、私も、市長の任期との関係でお伺いしたいと思います。新しい基本構想、基本計画の策定の準備が始まりますが、2010年度は調査分析、方針決定、庁内検討組織の設置などを行い、2011年度と12年度で計画を策定するということになっています。市長の任期は2012年1月までですけれども、次の総合計画も第2次ゆめおりプランとして市長みずからが策定するということなのでしょうか。策定するとすれば、どのような方針でするのか、お聞きをいたします。
さきの市長選挙のときには引退という報道もされておりますけれども、そうであるなら、新しい市長のもとで、新しい考え方のもとに新総合計画はつくるべきではないでしょうか。お伺いいたします。
次に、八王子市都市政策研究所についてであります。
これも他市の状況が報告されましたけれども、私は、これまでの研究会議の報告は、福祉政策などが進化していくということに期待したわけですけれども、市民生活とややかけ離れた机上の研究内容だったとの印象があります。もちろん、市職員や内部の政策立案能力や実行力を高めていくことは必要だと思います。さて、既に専門研究員を募集しておりますけれども、研究所設置の目的、具体的な政策課題についてお聞きいたします。また、所長は市のOBの天下りということにならないようにしてほしいというふうに思いますが、どのような人材を考えているのか、お伺いをいたします。
次に、公正な入札・契約制度の確立についてお伺いをいたします。
昨年9月、野田市が全国で初めて公契約条例を制定いたしました。公契約の受注者に下請や派遣も含め、その業務に従事する労働者について、市が定める最低額以上の賃金支払いを義務づけ、立入調査権や是正措置命令など規定をしております。条例の目的の第一は賃金の確保にあります。野田市の根本市長は旧建設省の出身だということですけれども、デフレスパイラルの状況にある今、賃金の下落をとめる必要がある。国が法律を制定しないのであれば、自治体がとめるべきだとして、条例制定後、全国805の自治体に条例文を送り、同様の取り組みを促しています。現在、国分寺市、我孫子市、川崎市が条例化の検討を開始する方針を固めていると言われています。本市でも議会で複数の議員が取り上げ、労働組合等からも要望が出されていると思います。
昨年の第4回市議会定例会では他の議員の質問に対し、検討組織の設置や設置時期について、担当所管に検討を指示するとの答弁を副市長がされております。ぜひ野田市の条例を研究していただいて、働く人たちの賃金確保、そして、公正な労働を担保するために、その検討組織を早期に設置されることを求めたいと思いますが、新年度中には設置ができるのでしょうか。お伺いをいたします。
次に、政治倫理と入札の問題についてお伺いをいたします。
昨年は政治倫理条例の制定について議会では熱い議論が交わされました。2005年の談合監視委員会で談合の疑いが高いとして入札無効となった都計道3・4・57号線街路築造工事と片倉町2231番地先外下水道築造51工事に黒須建設が入札参加者であったことも政治倫理や入札制度の点から質疑がされております。私は、無効となったこの2件の入札調書及び会議録や他の資料の情報公開請求を一昨年12月に行いましたが、すべて非公開となりました。しかし、不服申し立てをした結果、審査会から入札調書については公開すべきとの答申が出され、市は本年2月に公開いたしました。答申は情報公開制度の趣旨にかんがみれば、不適正な入札結果こそ市民に公にする必要が高く、公にすることによる利益は大きいとしています。この2枚の入札調書の公開に1年以上かかりましたが、即情報が公開されていたならば、政治倫理条例の審議結果も変わっていたかもしれないと思います。
談合情報の公開についてこの1年間極めて消極的であったということを、私は強く抗議したいと思います。
さて、談合の疑いが高いとされた2件のうち、都計道3・4・57号線工事の落札者は98.1%の落札率で、フジタ・黒須建設共同企業体でした。談合監視委員会では、談合情報と落札予定者が一致し、落札額もほぼ一致したため、公正入札調査委員会の開催を決定したと経過が説明をされています。市長の親族企業が談合の疑いが高いとされた入札に参加していたこと、さらに落札予定者であったことは、重大な問題だと思います。2005年には市長は黒須建設から約62万円の株の配当を得ていたのです。改めて政治倫理の問題が問われます。
以前、08年にこの問題が予算質疑で取り上げられたとき、市長は承知していないと答弁していますが、このような不適切な入札結果を知り、そして、落札者が親族企業の参加するJVであったことについて、政治倫理上の責任をお感じにならないでしょうか。お伺いいたします。
そして、今後の談合情報の公開についてお聞きをいたします。米子市では、談合の疑いがあるとされる入札調書や談合情報を公開し、市民への説明責任に努めています。今後の積極的な談合情報の公開についてお伺いをいたします。
次に、緊急雇用対策について伺います。
1月の完全失業率は4.9%。有効求人倍率は0.46と少し改善はされたものの、企業採用姿勢は依然低いと報道されています。八王子ハローワークの有効求人倍率は0.2で、全国平均よりも東京都平均の0.48よりも極めて低い水準となっており、雇用情勢が本市では大変厳しい状況であります。
高校生の就職内定率は東京都で前年比マイナス6.6%の71%となっております。特に女子は厳しく、64%で、昨年に比べて11.7%も落ちており、就職を希望する卒業生の3分の1が仕事につけないという事態になっています。新年度も強力な雇用対策が求められます。今年度、事業者から好評であった雇用維持奨励金は、新年度は継続ではなく、資金融資支援制度へと変わっておりますけれども、その変わる理由と効果についてお示しいただきたいと思います。
また、国の緊急雇用創出事業臨時補助金、5億6,000万円を活用した広報紙の各戸配布や、さまざまなデータの作成といった雇用対策は、臨時的で短期の雇用しか生み出さず、生活の安定を図ることにつながらないのではないかと思いますが、この事業の効果をどのように考えているのか、お聞きいたします。
あわせて、市の職員定数条例が見直され、総数4,019名から3,019名へと、1,000名もの減となります。厳しい雇用環境が続く中で、市内最大の事業所である市の雇用責任の問題についてはどのようにお考えでしょうか。この10年間で正規職員は七、八百人減り、逆に、嘱託など非正規の職員が800人前後ふえておりますけれども、1,000名もの定数減は中止し、必要な部署に正規職員を採用するべきではないでしょうか。他の事業者への雇用を求めながら市は雇用を削減していくというのでは矛盾をしているのではないでしょうか。お答えください。
次に、生活支援と住宅対策について伺います。
生活保護受給世帯も急増しております。生活保護費は192億円で、2007年度に比べて約46億円も増加しており、市民生活の厳しさを痛感します。生活保護世帯の急増に対して、ケースワーカーの増員を強く求めてまいりました。予算では職員6名、任期付職員2名、嘱託員6名が増員され、職員1人当たりの持ち件数は、職員で159件から120件に緩和されます。職員の増員に努力されたことは評価したいと思います。それでも、厚労省の基準の80名からすれば、まだまだ過大な負担がかかっていると言えます。生活保護からの自立には就労など社会参加への希望を再び持ち、職業訓練を受けるなど、丁寧で専門的な支援が必要です。どのような支援を目指しているのか、そして、この体制で十分な支援が可能であるのか、お聞きをいたします。
NPO法人などに委託して、新しく支援施設に入所している人に対して、かつて路上生活者であった人たちへの支援ですが、この自立支援が新たに取り組まれます。支援施設の中には生活保護費から住宅費や食費、管理費を払えば手元に2万円から3万円しか残らない。あるいは、6畳間をカーテンで仕切った部屋を与え、生活保護基準の住宅費を徴収するなど、生活保護を食い物にするような貧困ビジネスとして利益を上げている事業者や法人もあります。路上生活者への支援を委託する場合、こうした事業者に十分注意をしなければなりませんが、どのようなNPO法人への委託を検討しているのでしょうか。
年末の公設派遣村では仕事も住まいも失った人々の姿に生活再建の基本は住宅の確保だと痛感をいたしました。住宅困窮者への支援はさまざまにありますが、ハローワークや社会福祉協議会、生活福祉課、住宅対策課、健康福祉総務課といったように分散しており、利用者にとっては使いにくい制度となっています。利用者に使いやすいワンストップサービスの工夫はできないのか、お伺いをいたします。
また、市内にある雇用促進住宅、UR等の公共住宅や都営住宅、また、企業の社宅などのストックを調査し、住宅困窮者に提供できる体制、システムをつくるべきだと考えますが、今後の方向性をお聞きいたします。
次に、自殺防止について伺います。
2008年の自殺者は前年を504人上回る3万2,753人と連続して3万人を超えています。八王子市でも2007年では101人、2008年では120人もの方が亡くなっています。2008年の場合、男性は90人、女性は30人で、男性の方が多く亡くなっているということがわかります。失業や多重債務、過労などによって追い込められた末の死であり、多くの人が不本意な死を強いられている事態を早急に防がなければなりません。国は雇用情勢と自殺者数の間に強い相関関係があるとして、年度末に向けての緊急対策を打ち出しています。市は、自殺対策を早急に取り組まなければならない重要課題として十分認識をしていると思いますが、新年度予算の中ではその具体的な取り組みがわかりません。今後の取り組みについてお伺いをいたします。
次に、医療、福祉行政の充実についてお伺いをいたします。
多くの市民の存続の願いにもかかわらず、3月、都立八王子小児病院は府中の小児総合医療センターへ統廃合されることになります。市は跡地に1年後、小児・障害メディカルセンターを設置し、東海大学病院、八王子医療センターに小児病床を増床し、南多摩病院に小児科を新設するという対策をとられております。しかし、今まで都立八王子小児病院が担ってきた役割を果たせるわけではありません。東海大学病院や八王子医療センターにはNICUはなく、小児病院の移転によって八王子からNICUの9床がゼロになってしまいます。さらに、八王子医療センターは、昨年11月10日、重要なお知らせとして、当センターにおける新生児の診療は産科医師が担当しております。このため、出産後に新生児に異常が発生したときは、当センターにて入院、治療することは難しく、他の入院が可能な施設に搬送される可能性がありますと断っています。八王子医療センターは小児病院移転後の重要な受け入れ先であったわけですけれども、新生児を診る小児科医がいないという事態になっています。これまでこうした新生児の受け入れ先であった小児病院の閉院後は、遠くの病院への搬送を余儀なくされます。小児病院の入院病床の削減、NICU、そして、緊急医療の空白は、八王子や近隣の子どもたちの命を守ることができるのでしょうか。小児病院の移転をしても十分な医療が確保できると考えているのか、また、NICUの確保については見通しが立っているのか、お伺いいたします。約8,000人の子どもたちが受診していましたが、すべての子どもたちの医療機関の受け入れ先は決まったのでしょうか。お伺いをいたします。
次に、保育園待機児の解消についてお伺いをいたします。
保育園の整備、待機児の解消には市も努力をされてまいりました。新年度予算でも新設園などが開設されます。少子・高齢化対策特別委員会でいただいた資料の中では、2010年度2月現在の申し込み状況は3,057人、受け入れ予定数は2,167人と、やはり待機児が多く出るというようなことになっています。保育園を増設しても、なかなかこの問題は解決をいたしません。そして、新年度の特徴としてゼロ歳児の申し込みが急増しているということでありました。この待機児解消策は早急に手を打たなければなりませんけれども、まず公立保育園のゼロ、1、2歳児の受け入れを拡大し、公立保育園の責任をきちんと果たすこと、そして、2点目にはNPOなど地域の協働で小さな共同保育の仕組みづくりをすること、空き店舗や住宅を利用して、こうした共同保育の試みなども新しい仕組みとして提起したいというふうに思いますが、待機児を解消するための対策として今後さらにその対策を強化していかなければならないと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
次に、介護保険についてお伺いをいたします。
2000年にスタートした介護保険制度は、介護の社会化を目標としてスタートしました。これは女性に介護の負担が重くのしかかっていた中で、女性たちは歓迎して、この制度を迎えたわけですけれども、スタートして11年目、多くの問題が顕著になってきております。まず、財源の問題です。保険料と介護保険の利用との相関関係の中で、利用量が拡大すれば、保険料も拡大するということになってきています。利用者の負担を軽減するためには国の財政負担割合の拡大がやはり大きな課題だというふうに思いますし、また、特養待機者も昨年9月、東京都の調査では八王子市で1,892人というデータが出ております。また、厚労省は、昨年12月、同居家族のホームヘルパーの利用について制限をしない。事情に応じて、きちんと使えるようにしなさいという通知を出しております。しかし、改正介護保険の中で制限された同居家族の利用については、なかなか制限がとれないという状況にあります。また、介護労働者の賃金も低い水準のままで、このままいけば、介護保険制度が存続できるのかどうかという大きな問題になってきています。介護保険を運営する市長として、介護保険制度を抜本的に改革するためには、どのようなことが必要であると考えているのか、お伺いをしたいと思いますし、あと2年間事業計画があるわけでありますけれども、この中で本市の介護保険事業の中で、重点的に取り組む内容についてお聞かせいただきたいと思います。
次に、障害者差別禁止条例についてお伺いをいたします。
厚生労働省は本年1月、障害者自立支援法は憲法違反だとして国を訴えていた原告弁護団と支援法を廃止するということで合意、和解をいたしました。その和解の中には、障害者自立支援法を、障害者の意見を十分に踏まえず施行し、応益負担を導入したことにより多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らを初めとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するというふうになっております。
障害者施策は、障害者自立支援法を廃止することによって新たな展開を見せ始めました。国では新法を制定し、そして、障害者の権利条約を批准するための障害者制度改革推進会議を設置し、当事者参加で検討が始まっております。その会議では障害者の定義についても議論がされております。
今までの障害者の定義は、身体障害など障害者の心身の機能に注目するという医学モデルでありましたけれども、今議論されているのは社会参加を難しくしている社会の側の問題を重視し、必要な支援を把握するという社会モデルへ転換しようというふうになっております。制度改革推進会議の議論では、社会モデルへ転換していこうという意見が大多数であるようでありますし、8月までにこの結論は出るというふうに思います。
障害者が、まちの中で差別されないで障害者の権利を守って地域の中で暮らしたい、そんなまちにしたいという思いを込めて、八王子でも障害者の皆さんを中心に、障害者差別禁止条例についての学習会が始まっております。前文では、障害のある人の生活を困難にしているものは、参加を阻む物理的な環境や社会的な制度、無知や無理解、偏見などの社会的な障壁であることに気づいたと記され、我々は今障害のある人と同じ社会の一員として共生する社会こそが我々自身にとってもその多様性と個性を認め合い、地域住民のだれもが安心して暮らすことのできる社会の基礎であると確信するに至ったというふうに、これは障害を持たない人の立場で書かれてあります。
障害のある人と障害のない人について平等に生活し、そして、差別を禁止しようという条例があれば、障害者も幸せにこのまちの中で生きていけるという願いを込めた前文だというふうに思いますが、こうして障害者自立支援法の廃止、そして、障害者権利条約の批准という方向に国は動き始めておりまして、障害についても、社会の方に問題があるから、障害者が社会参加できるよう、社会の体制を整えていこうという方向に転換しつつあります。こうした障害者にかかわる考え方、そして、政策が大きく転換するということについて、また八王子でのこうした皆さんの学習会というような活動について市長はどのようにお考えになり、どのような感想をお持ちになるのか、お伺いしたいと思います。
次に、学びの保障と教育行政についてお伺いをいたします。
教育予算は、今回の全体の予算はマイナス6%のシーリングで行われました。新年度の教育予算全体は219億円で、一般会計の11.3%です。教育統計の指標から見ると、1999年を100とした場合、2010年度の教育費も100であり、11年前と同じ水準だということになります。教育費の校舎建設整備費は67億9,000万円で、教育費の30%を占めます。これは99年に比べて指標は205となります。10年間の教育費全体の推移を見てみると、約200億円前後で推移していますが、校舎建設費は33億から60億円台に大きく伸びています。これはハード部分の費用が拡大し、教育のソフト部分が縮小しているということになります。新年度予算は対前年度比7億円の減で、これは学校の改築が終わったということでしたけれども、学校の配当予算も7,000万円の減額となっております。子どもたちの教育の充実には学校配当予算は欠かせませんけれども、教育長は学校予算、あるいは教育予算の獲得にどのように努力されてきたのでしょうか。そして、教員の多忙化等たくさん課題のある教育の中に人材の確保も必要でありますけれども、人材の確保のためにどのような努力をされてきたのか、お伺いをいたします。
教育費の基準財政需要額が1に満たないということは多くの議員が指摘しております。中学校費では0.69でありました。このことが改善されるように新年度予算の中では努力されているのか、お伺いしたいと思います。
次に、就学援助についてお伺いいたします。
子どもの貧困率が14.7%と厚労省が発表し、7人に1人の子どもたちが貧困の中にあるということが明らかになっております。テレビなどでは、家で食事をとれない子ども、病院に行けない子どもの実態が映像で映し出され、大きな社会問題だと思っております。八王子では、就学援助が1.1に引き下げられたまま、この水準で据え置かれておりますけれども、国分寺市や国立市は1.5の就学援助となっております。地域によって格差が顕著になっています。就学援助の拡大についてはたびたび求めてまいりましたけれども、今回の基準の引き上げについて予算要求されたのか、お伺いをいたします。
そして、拡大についての必要性について教育長はどのように考えているのか、御答弁をいただきたいと思います。
次に、新体育館の建設についてであります。
PFIのアドバイザリー委託料が計上されております。PFIの導入については、民間企業の利益になり、あるいは最終的な責任の問題が行政側になるというリスクを指摘してまいりました。PFIのリスクについてはどのように検討され、アドバイザリー契約に至ったのか明らかにしてください。そして、市長は事業費総額について、議会で他の議員に対してでありますけれども、60億とも70億とも言われているというふうに答弁をされております。私が、この問題について質疑をしたときには、事業費については明らかにされませんでした。事業費総額というのが明らかになっていれば、今後の財政運営にもかかわってくることですので、事業費総額を明らかにしていただきたいと思います。そして、さらに総事業費の75%は起債で行い、25%は市中銀行の資金調達になるというふうに聞いております。そうしますと、全額市の直営で行った場合と、PFI手法の場合、トータルコストにはどのような相違が出てくるのか、明らかにしていただきたいと思います。
次に、持続可能な社会のためにということで、2点お伺いをいたします。
1点目は、自然エネルギーの推進として太陽光パネルへの設置の助成が新設されました。自然エネルギーの活用推進ということで評価したいと思いますが、1世帯10万円で、100世帯、1,000万円の予算というのは少ないのではないかというふうに思いますが、このことの拡大をするという方向はないのでしょうか。また、このことによってCO2の削減効果はどの程度期待されているのか、お伺いいたします。
次に、電磁波対策についてであります。昨年11月、松が谷地域で東電の鉄塔にソフトバンクが携帯電話の中継基地をつくるという計画を発表いたしました。地域住民と2回の話し合いが持たれましたけれども、地域住民からの健康被害への心配というものが出され、2回目の説明会のときに、ソフトバンクはその意向を酌んで、中継基地をつくることから撤退いたしました。その中での議論では、他市では要綱や条例で事業者に説明会などをきちんと求めるようになっている。ぜひ市民の皆さんもそういうことを行政に求めてくださいよというのがソフトバンクの会社の人の発言でありました。昨年の第2回定例会で若尾議員が、予防原則に基づいて電磁波対策を進めること、そして、このことに対する情報提供をするよう指導要綱の中できちんと担保していくということを求めました。現在、この要綱の設置や策定などについて、どのような検討が進んでいるのか、お答えいただきたいと思います。
最後に、平和と人権を守るということについてお伺いをいたします。
男女平等行政は、女子差別撤廃条約が制定されて、八王子でも20年以上にわたって努力がされてまいりました。女性管理職の拡大など、徐々に効果はあらわれてきていますけれども、まだまだ課題はたくさんあります。改めて八王子市の男女平等行政を推進していく上で、市長は女子差別撤廃条約の意義についてどのように考えているのか。そして、昨年8月、女子差別撤廃委員会から日本の国に対して、より男女平等を進めるための勧告が出されておりますけれども、これをどのようにとらえているのか。さらに、庁内でも八王子の中でも男女平等を実現していくためには男女共同参画課の権限強化が必要だと思いますけれども、この強化の方向についてお答えをいただきたいと思います。
最後に、平和行政についてであります。
ことしは日韓併合100年、日米安保60年というふうに、平和や戦争についての節目の年であると思います。八王子市は平和行政に取り組んでおりますが、こうした歴史的な年を、歴史を振り返り、近隣諸国との友好を深めるという平和への取り組みを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
そしてもう一点、安保条約60年からすれば、沖縄の基地問題、負担軽減の問題があります。沖縄県議会は、先日、自民党、公明党も含めて全会一致で基地撤去、負担軽減の決議をいたしました。自治体の長として、平和を求める長として、エールを送っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
以上で質疑を終わります。
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