◎【40番井上睦子議員】
それでは、人間らしく働き生活するためにというテーマで、まず質問をいたします。

 市の職員は、正規職員が年々減少し、非正規職員が増加してきているというような傾向があります。今年度は正規職員は対前年比マイナス64人の2,921人、再任用職員はプラス52人の162人、嘱託職員は今年度は86人減少して497人となっています。臨時職員は前年比マイナス160人で、ことしの4月1日現在では684人となっています。

 私はこれまで何度も、正規職員を削減することは、若者の雇用や、働く人たちの雇用の場を縮小することから問題だと指摘をし、非正規職員との均等待遇、同一価値労働、同一賃金の実現を求めてまいりました。正規職員の平均賃金は年間757万円、嘱託職員の平均賃金は年間240万円となっています。正規職員は勤続年数によって昇給いたしますけれども、嘱託職員は昇給をしません。嘱託員の週勤務の時間は18時間から29時間という時間帯で、報酬は16万4,800円から27万6,000円までの中で、細かく職務によって規定をされております。

 そこでまずお伺いをいたします。正規、非正規職員の賃金はどのように決まっているのか。非正規の賃金の根拠及び正規、非正規の賃金格差は、なぜこのように生じているのか、お答えをいただきたいと思います。

 2点目として、非正規、嘱託職員の賃金は平均240万円ですが、これで生活が十分にできる賃金といえるのか、お伺いをいたします。

 例えば、東京の標準世帯の生活費は1人で19万円、2人で23万円というデータがあります。もし、シングルマザーで、市の嘱託員として働いている場合は、十分な生活費とはいえません。嘱託職員の賃金は生活を十分に保障できる賃金と考えているのか、お伺いをいたします。

 ILO100号条約は、同一価値労働、同一賃金原則の考え方を示しています。この原則の考え方は、職務が異なっていても、それぞれの職務の価値が同一であるならば、同一の賃金が支払われるべきという考え方です。この同一価値労働、同一賃金原則は、職種や職務、雇用形態が異なっていても、職務評価によって測定をされた同一価値の労働には同一賃金を、仕事の価値が異なった場合でも、価値に比例した賃金の支払いを求めるという原則です。市は、同一価値労働、同一賃金原則の考え方の意義をどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。

 さて、職務の価値を同一価値労働、同一賃金原則ということを以上のように考えると、職務の価値をどのように測定するかということが課題となってきます。欧米社会では、その測定方法として、職務評価という手法が使われています。厚生労働省は、パートタイム労働法の改正に伴う附帯決議、これは短時間労働者と通常の労働者との均等待遇の確保を進めるために、職務分析の手法や、比較を行うための指標に基づいて、内外の情報を収集しなさいという附帯決議がついているわけですけれども、それに従って職務分析・職務評価実施マニュアルという思考ツールを作成しています。このマニュアルは、まだ一例として取り上げられているものであり、問題も多く、労働者側の意見も反映されなければなりませんけれども、職務評価、職務分析の第一歩を踏み出したといえるものです。

 また、第3次男女共同参画推進計画の答申においても、男女の賃金格差是正のために、職務評価の手法を研究するようにと明記をされました。私は、この職務評価が、同一価値労働、同一賃金を実現する方法となると考えていますが、市は、職務評価という手法をどのように理解をしているのか、お伺いをいたします。

 次に、6月30日に施行された改正育児・介護休業法についてお伺いいたします。

 この法律は、男性の育児参加を積極的に進めようとするものですけれども、これまで男性の育休取得は、厚生労働省が発表した昨年度の雇用均等基本結果によると、男性の育児休業取得率は1.72%で、決して高くはなっていません。市役所及び市内の企業において、男性の育児休業取得率、また進まない理由をお聞かせいただきたいと思います。

 次に、安全な基本財産の運用についてお伺いをいたします。

 まず、学園都市文化ふれあい財団のパワーリバース債の購入についてであります。このパワーリバース債の購入運用については、第2回定例会の諸報告で、私は為替リスクのあるパワーリバース債は財団の基本財産の運用として適さないと指摘をし、損益を出さないように、状況を見て安全なものにかえるよう求めました。そのときの市長の答弁は、これは国の基準に従って運用をしているわけでございまして、今最も安全な運用方法の1つだろうと思っております。20年後には100%戻るということと、運用益というか、配当分でそれを累計していけば、いつ売っても損失がない時期というものはあると思うんです。もし手放さなければならない時期があったとしても、その時期というのは見きわめられるんじゃないか、このように思っておりますという内容でありました。

 また、担当部長からも、債権の格付も、いわゆるトリプルAということで、世界的にも最も信用度の高い債券の1つでございますと、安全な債券であるとの答弁でありました。

 しかし、為替仕組み債について調べていく中で、やはり安全ではなく、自治体や公益法人が運用する債券ではないと考えますので、改めて質問をいたします。

 学文ふれあい財団は、2008年度に基本財産の5億円をオーストラリアドルでパワーリバース債を購入しています。このパワーリバース債は、国際復興開発銀行の発行で、最初の1年間の利率は4.15%、次の年から上限利率は4%とし、円相場に応じてこの利率は変動していきます。すなわち、円安になれば、より高い金利を受け取ることができますが、円高になれば、金利は低くなり、0%になることも覚悟しなければなりません。20年満期で元本が保証されていますが、途中解約の場合、円高であれば元本割れとなり、その元本を大きく下回ることになります。

 さらに、発行体側に早期償還条項が付与されており、為替レートが高くなったときなど、強制的に償還することができる内容になっています。

 2008年度の利息収入は約2,000万円、2009年度は1,570万円となっています。しかし、円高によって2008年度は時価が4億1,795万円で、評価損益は8,205万円、2009年度では時価が4億3,495万円で、評価損益が6,505万円となっています。

 そこで質問をいたします。円高がとまりません。パワーリバース債購入時のオーストラリアドルは87円でしたが、現在は何円でしょうか。

 また、5億円の時価、評価損益及び利率を、現時点でわかっているようでしたら、お答えいただきたいと思います。

 次に、パワーリバース債は複雑な金融工学を駆使して、高い利回りを実現する為替仕組み債と呼ばれるものですが、どのようになっているのか。どのような仕組みになっているのか、お答えください。私も本を読んでみましたけれども、これがどのような仕組みで、高い利率が最初保証されるのか。そのことの意味がわかりませんので、わかりやすく説明をしていただきたいと思います。

 第2回定例会のとき、リスクについて質問しましたが、部長からは答弁がなく、また国債からの預けかえについては、2008年度第6回の理事会で議論をいただいて、了承を得ているとの答弁でありました。しかし、そのときの理事会の議事録を見ると、パワーリバース債購入についての説明もなく、ただ効率的な運用を図るとして、約1,000万円の収入増が説明されるだけで、理事会では一切議論になっていません。予算案を議決したことで了承となっているにすぎません。評議員会においても同様です。

 私は、パワーリバース債購入に当たって、理事会や評議員会に十分な説明責任と情報公開がされたのか、大変疑問に思っておりますが、十分だったといえるのでしょうか。お答えください。

 また、購入に当たってどのようなリスクの検討がされ、購入を妥当としたのか、その理由についてお聞きをいたします。

 その際、監事の意見はどのような意見だったのでしょうか。証券会社からは、リスクについてどのような説明があったのか、お伺いをいたします。

 私が質問するに当たって、契約書の資料提供を求めましたら、英文の価格サプリメントという資料と、A4、1枚の新光証券が作成した上限金利コーラブル型パワーリバース債のご案内、参考条件、このA4、1枚の部分は和文でしたけれども、という資料が出されました。英文は読めませんでしたので、和訳を求めましたら、財団には和訳がなく、証券会社に要求しても、証券会社としては、解釈に相違が出ると困るので、和訳はしないとの答えだったそうです。急遽、9月6日に財団で和訳をして、私の手元に届けられました。

 この経過から考えると、契約書や確認書なども英文で交わされており、財団が正確に契約の内容を理解しているのだろうかという疑問が湧いてまいりました。英文でリスク検討などを詳細にできたのでしょうか。お聞きいたします。

 次に、市にお聞きいたします。基金の運用は、安全に運用することが求められていますが、基金の運用方針についてお答えください。

 ふれあい財団は、利率が高いこと、20年満期で元本が保証されるという理由から、パワーリバース債を運用しています。地方自治体がパワーリバース債のような為替仕組み債で運用することについての見解をお聞きいたします。

 以上で1回目の質問を終わります。


◎【坂本誠総務部長】
嘱託員の給与に関する御質問です。正規職員、それから嘱託職員の差を数値であらわせるかということですが、広範な仕事に対して責任や結果を求められる正規職員と、特定の分野でその専門性を生かし、職務に従事する嘱託員を、1つの基準の中で数値化をして比較するということは大変難しいものというふうに考えているところです。

 職務評価を導入すべきではないかということです。より客観的な評価手法として職務評価分析を行うことについては、意義のあることというふうに考えております。現在、その手法等について研究は行っているところでございます。

 それから、嘱託員について、昇給しないシステムがそれでいいのかということでございました。嘱託員につきましては、一定の能力を備えている方について、1年以内の任期で採用いたしておりまして、その一定の能力に対しての報酬額を設定しております。ということで、年が積み重なっても昇給はしない仕組みとなっております。もちろん、求める能力の質が高い職の位置づけが必要だとすれば、それに見合った報酬額としていくということにはなります。

 それから、男性の育児休業の取得向上へ向けての働きかけをということでございました。昨年度、特定事業主行動計画の見直しを行いました。本人や周囲の職員に求められる役割を明記するなど、子育てしやすい環境づくりに努めているところでございます。今後も、男性の育児休業の取得向上のため、育児参加意識を高められるよう、講習会等を行い、啓発をしていきたいというふうに考えております。


◎【菊谷文男こども家庭部長】
私の方からは、民間企業の男性の育児休業取得者をふやすための具体的な取り組みについて御答弁申し上げます。

 八王子市こども育成計画におきましては、子育てに関する休暇・休業制度の推進を施策目標の1つに位置づけております。市民、企業、行政などが協働して子育て支援策に総合的に取り組んでいきたいというふうに考えております。具体的には、子育ての重要性をアピールするために、企業に対しての啓発のためのリーフレットの配布、あるいは労働セミナーなどを通じました仕事と生活の調和の取り組み事例等の情報提供をいたしまして、育児休業制度の普及・啓発を行ってまいります。


◎【峯尾常雄市民活動推進部長】
ふれあい財団のパワーリバース債に関してお答えを申し上げます。

 まず、オーストラリアドルでの運用ということで、現在、どのぐらいの水準かということですけれども、8月30日現在、オーストラリアドル1ドル当たり76円、配当率にいたしますと、2.2%程度でございます。

 それから、仕組みにつきましては、先ほど御質問者からお話のとおりですけれども、高利回りはどうやって実現をしているのかというお尋ねでございますけれども、高い利回りは、発行者であります国際復興開発銀行が調達いたしました資金を、いわゆるデリバティブ取引など、高度な金融取引で運用することで実現をしているというふうに聞いております。

 パワーリバース債は、一般に販売されている債券ではなくて、発行体であります国際復興開発銀行が購入条件に応じて、財団のためにオーダーメードした債券、仕組んだ債券ということで、仕組債などと呼ばれておりますけれども、そうした条件の中で、20年間の長期の運用であるということ、あるいは、御質問者もおっしゃいましたけれども、期間中、発行者側に繰り上げ償還を求める権利がついていますことから、発行体側の資金運用の自由度が高いために、安定した運用につながって、通常の債券よりも高い利回りが用意されているということでございます。

 このほか、基準となります為替にオーストラリアドルが設定をしてありますので、オーストラリアは先進国の中でも経済状況が良好でありまして、政策金利が高いので、利回りが高くなるというふうに聞いているところでございます。

 それから、続きまして、購入に当たっての経過、十分な説明とか、あるいはリスクの検討はどうだったかということですけれども、今回のパワーリバース債の購入は、国の示す指針の範囲内での運用でございまして、専門家等の意見も踏まえまして、当然のこととして、ふれあい財団の評議員会、理事会での御了解をいただいた上での運用でございます。

 購入前の評議員会におきましては、高い配当益を計上しました予算として、内容を御説明することで同意をいただきまして、理事会においても承認の議決をいただいているところでございます。

 また、運用状況につきましても、同様に決算報告書の中で、運用益とともに、評価損等について御説明をし、了承をいただいているところでございます。

 それから、運用に当たってどのようなリスクを検討したのかということですけれども、これは証券会社ともよく相談する中でのものですけれども、1つには、元本保証の観点、それからまた発行体の信用リスク、それから、満期前に換金した場合の流動性などについて検討いたしました。このうち、元本保証につきましては、運用期間中においては為替相場の影響を受けますものの、満期まで持ち切る場合には、その元本が保証されているというようなこと。また、発行体は国際復興開発銀行でございまして、いわゆるトリプルAの格付であって、債務の履行能力に対する信頼性が非常に高いと判断したところでございます。

 確かに満期前の換金の流動性という点では、乏しいところがございますけれども、基本財産は、例えば市側の財政調整基金のように、財源不足のときには取り崩すというような性格ではございませんので、以上のことから、パワーリバース債の購入に踏み切ったところでございます。

 また、監事からの意見ということですけれども、監事の方からは、為替変動リスクがある債券であるというようなこと、あるいはまた、決算書の方には、債券の時価評価を記載するようにという意見をいただいているところでございます。

 それから、最後に、英文のものしかなくて、購入当時、和訳がなかったというお尋ねでございますけども、この債券の購入に当たりましては、事前に財団と発行者の間に立つ証券会社と、利率や元本保証など契約条件について十分協議を重ねて購入に至ったところでございます。

 英語表記のものは、購入後に、協議結果をその内容とする契約条件資料という形で、発行者から証券会社を経由して送付をされてきたものでございます。もちろん、間に立つ証券会社を通じて内容確認の方は十分行っているところでございます。


◎【橋本辰夫会計管理者】
本市の基金の運用についての御質問をいただきました。

 初めに、基金の運用につきましては、地方自治法第241条に、基金の目的に応じ、確実かつ効率的に運用することが定められております。それに従いまして、市の公金管理方針におきまして、安全・確実を第一といたしまして、安全を確保した上で効率を求めることとしております。具体的には、指定金融機関及び安全性の高い金融機関への預金、並びに国債、地方債及び政府保証債で運用しているところでございます。

 次に、地方自治体がパワーリバース債で運用することにつきましては、満期まで保有いたしますれば元本が保証されますので、購入自体は自治法の規定に反するとはいえませんが、途中解約が難しく、流動性が損なわれるということから、本市では、将来の資金需要への対応を考えまして、運用の対応とはしていないところでございます。


◎【40番井上睦子議員】
それでは、2回目の質問を行います。

 人間らしく働き生活するためにというテーマで、正規職員と非正規職員の賃金の決定や、その根拠についてお伺いをいたしました。他市との非正規職員の関係は、均等の問題であるとか、それから正規、非正規の職員の決定は、勤続年数や、その経験、積み上げてきたものが違うということで格差が生じるということでありましたけれども、果たしてその根拠は正しいのかどうかということを数値的にあらわすことはできるでしょうか。例えば、正規職員の平均賃金は約750万円、非正規は240万円というふうに申し上げました。これは3倍にわたる賃金格差が生じているわけです。とすると、同一価値労働、同一賃金の考え方に立てば、労働の価値も正規職員に対して非正規職員は3分の1であるという証明がなければ、この非正規職員の賃金の決定の根拠が正しいとはいえないのではないかと思いますが、その根拠の正しさを数値的にあらわすことができるのか、お伺いをいたします。

 非正規職員はなぜ数年働いても、その経験が加算されて賃金アップにならないのか。こういった働き方や、賃金の支給の仕方が妥当なのだろうかという疑問を持ちますけれども、その点についてお考えをお示しください。

 非正規の職員は、十分かどうかは別として、生活できる賃金であるとありました。ひとり暮らしで、節約をすれば何とか暮らせるという賃金であるかもしれません。しかし、家族を養いながら、複数の世帯では大変厳しい状況だと思います。今、官製ワーキングプアという言葉も生まれてきたように、役所、公務労働につきながらも、十分な生活費を得ることができないということが社会的な問題になっています。これは、今まで日本の賃金の考え方が、性別役割分業の考え方による男性稼ぎ主型家族を前提として、大部分を占める正規職員が男性、そして、その男性には妻や子どもなど家族を扶養し、高い賃金が支払われてまいりました。他方、主婦など女性は、家計の補助的な労働として、低い賃金でよしとする社会の意識があり、正規の職員の賃金は高く、非正規の職員の賃金は低くてもいい。そして、その結果、賃金格差が生じています。

 市の職員の男女の比を見てみますと、正規職員では男性が2,076人、女性が845人、これは正規職員は圧倒的に男性が多いということをあらわしていますし、嘱託員では男性が156人、女性が341人で、非正規の職員は圧倒的に女性が多いということをあらわしています。

 この数値からも、男性全体に支払われる賃金は高く、女性全体に支払われる賃金は少なくなっています。結果として、公務員の賃金は男女平等でありますけれども、女性と男性の立場から見れば、結果として男性稼ぎ主型賃金ということになっています。

 このように、男性は仕事、女性は家事、育児という性別役割分業に基づく、正規職員は男性で、賃金は高く、非正規職員は女性が大部分で、賃金が低いという関係が成り立ってきました。しかし、今日、非正規の労働者が派遣の人たちも含め急増をしてまいります。こうした関係は変えなければならないと思います。非正規の職員の人たちについて、平成19年度介護労働の現状という調査によれば、仕事の割に賃金が低いというヘルパーさんたち、非正規で働くヘルパーさんたちの不満が52.3%にも上っています。仕事内容を評価して、仕事内容に応じた賃金を受け取りたいというのは、非正規の人たちの当然の要求といえます。

 先ほどの答弁では、同一価値労働、同一賃金については、男女平等賃金を確保するということも言われました。でも、もう一方で、短時間労働者と正規で働く労働者との賃金格差を是正していくということの意味も含まれております。そのことも含まれておりましたけれども、男女平等同一賃金を確保しようというだけではなくて、今は正規と非正規の賃金の格差是正にも、この思想はあるわけでして、そのことはしっかりと認識をしていただきたいと思います。

 職務評価については、その過程であるというようなお話でした。私は、同一価値労働、同一賃金を実現していくための1つの有意義な手法として職務評価があると考えています。イギリスでは、地方自治体の職務評価制度が労使の合意のもとで確立をしております。これは、得点要素法と呼ばれているもので、職務評価の内容を4つの項目と、13の小項目に分けて、得点を加算していくという手法です。

 ここで詳細に説明することは、より混乱をすることになりますので、避けますけれども、昭和女子大学の森ますみ教授や、早稲田大学の朝倉むつ子教授などがこの研究を重ねており、この職務評価、分析の方法によって京ガスの男女差別賃金の裁判に勝ったという、職務評価によって同一価値労働、同一賃金を主張していく、賃金の格差を是正していくということに役立っておりまして、これは裁判の証拠書類としても認められて、今、社会的に認知をされつつある方法であります。ぜひ、この手法も市役所の中で労使で研究をして、職務評価の手法というものを開発していくべきだと考えておりますけれども、その御見解をお伺いいたします。

 次に、男性の育児休業取得のためについてであります。市役所は2%から3%ということで、東京都の民間企業の1.1%からは2倍ということで、いいわけですけれども、しかし、まだまだ男性の育児休業の取得が高いとはいえません。厚生労働省は、盛んにこの男性の育児休業の取得率を上げよう、そして、男性も子育てにかかわりながら、人間らしい生活、働き方を充実させていこうという取り組みをしております。

 今月の9月11日の朝日新聞で、父親が育児休業を取らない主な理由として、職場に迷惑をかける。忙しくて取れそうもない。前例がない。職場に取得しにくい雰囲気がある。収入が減るといった、やはり職場の雰囲気、職場で育休を取ることを応援するという風潮や社風がないということが大きな理由になっています。取得したいとは思わなかったという男性は減っておりまして、できれば取りたいけれども、職場の事情で取れないということがアンケートの結果から明らかになっております。

 男性の育児休業の取得者をふやすために、市は、市役所内及び市内企業についてどのような具体的な働きかけを強めていくのか、ぜひお聞きをしたいと思います。

 改正育児休業法が施行されました。育児休業を取りやすくなっていますので、ぜひその働きかけも強めていただきたいと思いますが、その対応についてお伺いいたします。  次に、学文ふれあい財団のパワーリバース債の問題についてであります。週刊ダイヤモンドという経済雑誌は、2009年10月17日号で、「外貨投資の罠にはまるな!『為替』入門」という特集を組んでおります。その記事の内容は、大学を初め、公益法人や共済組合が為替仕組み債の評価損が円高相場で大きくなり、団体の運営を行き詰まらせている。そのリスクが現実味を帯びてきており、慶応大学では仕組み債の購入は当面凍結をし、既に保有している仕組み債は、時期を見計らって減らしていくという方針を出すなど、仕組み債投資を見直す動きがあることを紹介しています。

 大きく報道されたのは、駒沢大学がこれによって大変な評価損を出し、土地や建物が担保に入れられたという報道もありました。

 仕組み債について部長から答弁がありましたが、金融工学に基づくデリバティブを仕組んだ高度な商品ということではなく、サブプライムローンの破綻に見られるように、丁か半か、円高か円安かというばくち以外の何物でもないと、この週刊ダイヤモンドの特集では指摘をしています。

 また、2008年、公益法人協会は、公益法人の資金運用アンケートを実施をし、公益法人の資産運用が預金、国債等から社債や仕組み債、外債等の金利リスク、為替リスクの比重の高い資産構成に進んでいると報告をしています。その問題点として、保有する仕組み債等の価格変動リスクが相当大きいと認識しているにもかかわらず、会計上の満期元本保証として取り扱うことで、価格変動リスクにふたをしてしまっている法人、あるいはやむを得ずと黙認している法人が少なからずあること。そして、金利や為替、信用格付、金融商品などは絶えず変化をし、つかみどころのないもので、このような不確実な商品、資産運用は、担当者の能力や、主観的な判断に依存をしており、業務内容に不安や不安定さがあるとしています。つまり、金融、為替商品は絶えず変換し、つかみどころのないというふうに表現をしているように、週刊ダイヤモンドが指摘するように、丁か半かのばくち取引だと言っているわけです。

 まず、リスクの検討について答弁がありました。評価損が出ていることはリスクではないのか、お伺いをいたします。

 基本財産5億円は、財団法人としての条件ですが、時価で5億円に満たないのは、財団の経営が健全ではなく、経営基盤が弱体化しているという評価につながるのではないでしょうか。評価損が出ていることについて、市はどのように考えているのか。市の考え方は、価格変動リスクにふたをするということではないのでしょうか。お伺いをいたします。

 次に、手放すよい時期がなければ、20年間保有をするということになります。南大沢の土地信託は30年間ですが、かつて○○○前市長は、30年後について、無責任にも、神のみぞ知ると答弁されました。20年間の仕組み債の保有は、インフレによる実質価値の大幅な目減りという塩漬けリスクがあるのではないでしょうか。お答えください。  6月の説明のときには、担当者から、オーストラリアの公定歩合が上がっているので、早期償還の可能性がある。今期の秋に満額償還されるかもしれないと証券会社から話が来ているとの報告を聞きました。しかし、円高が続いているので、現在のところ、発行側の早期償還はないようであります。

 先ほどの御答弁ですと、現在、8月30日現在のオーストラリアドルは76円、利率は2.2%。評価額については明らかにされませんでしたけれども、4億5,000万円、5,000万円の評価損が出ております。

 このように、為替レートが高くなり、発行側に不利な条件になったときには、一方的に償還ができるのに、財団側は不利な条件でも持ち続けなければならず、途中で解約しようとすると、相対取引なので、金融機関側の言い値で買いたたかれる危険性が高いといわれています。もし、途中解約をする場合、どのような価格になるのでしょうか。買いたたかれるという心配はないのか、お伺いをいたします。

 兵庫県朝来市は、年間の予算規模が200億円程度であるにもかかわらず、市の基本基金109億円のうち、67億5,000万円を仕組み債の購入に充てて、大きな評価損を出しています。朝来市議会は、基金運用の特別調査委員会を立ち上げて、問題を分析しました。朝来市が証券会社に出した投資確認書では、本債券は少人数向けに少額発行されることから、流動性は著しく低く、加えて買い付け後の市況環境及び発行体の信用状況の変化等の影響により、途中売却する場合の価格は買い付け価格を大きく下回るおそれがあると記載をされています。評価損が出ている上に、実際に資金が必要になって売ろうとした場合には、より損が出るという条件になっています。

 先ほどの市の答弁でも、途中解約が困難で、このパワーリバース債の場合は流動性が大きく損なわれるという評価になっています。財団が購入したパワーリバース債の条件は、売却時、どのようになっているのでしょうか。実際は時価より、より低い価格で売却せざるを得ないのでしょうか。お伺いをいたします。

 資料で、和文でいただきました価格サプリメントという説明資料では、途中解約のときの条件について、どのように書かれてあるのか、その条項を見つけることはできませんでした。先ほどのお話では、英文であっても証券会社と十分に条件については打ち合わせをしているので大丈夫だというような内容の答弁でありましたけれども、先ほども御紹介しましたように、証券会社に和訳を求めたならば、解釈の相違が起こるので和訳はしないということでありました。ですから、条件については英文で、他に契約書のようなものがあるのか。そして、購入をしたというような確認書が財団の方にあるのか。他に資料があって、もう少し詳細な条件が記されているのか。そのことを明らかにしていただきたいと思います。

 何も知らないで、金融商品についての情報量が証券会社と財団側では随分違うわけですから、明らかにリスクがあるということがきちんと説明をされて、それを納得して購入したのか。あるいは説明されないで、先ほどの答弁では、かなり安全であるということで、自信を持ってお答えになりましたので、そういうことを信じてお買いになったのか。もう一度確認をさせていただきたいと思います。

 途中解約の場合、どのような価格で売却になるのか。その条件がわかれば、お示しをいただきたいと思います。

 そして、このパワーリバース債の条件を示すものとして、私がいただきました価格サプリメント以外に、契約書や確認書など、そういったものがあるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。

 朝来市議会では、当初、市は5年程度の運用だというふうに言って、朝来市の場合には30年満期であったわけですけれども、30年満期であるということを明らかにしませんでした。大変な評価損益が出て、議会が特別調査委員会を立ち上げて、すべての資料を当たったところ、そのような記載が出てきたということであります。どのような条件になっているのか。その全体像を明らかにしていただきたいと思います。

 6月議会で部長は、債券の格付はトリプルAで、むしろ国債より高い格付だと答弁をされましたが、いただいた資料では、本債券は個別の格付を取得しておらず、また将来も取得する予定はないとして、トリプルAは発行者に対する格付であると記述をされています。きょうの答弁は、発行者の格付だとおっしゃいましたが、6月議会のときには、債券の格付がトリプルAであると答弁をされております。

 このように、金融商品に対して正確な知識、十分な情報量を持たないものは、トリプルAが発行者側についているものなのか、債券についているものなのか、そのことも正確には理解をすることができないということのあかしなのだと思いますけれども、ぜひ、6月議会の答弁の訂正をしていただきたいと思います。

 超長期債である仕組み債の格付を取得しないで、参考データでしかない発行者の格付を表示して販売するのは、偽装表示に近いと吉本佳生さん、これは南山大学の准教授ですけれども、そのように指摘をしています。信用度の高い債券であると判断をした根拠をお聞きいたします。

 証券会社が為替仕組み債を販売するのは、金融機関にとって有利な商品だからこそ販売をし、証券会社にとっても他の債券に比べて手数料が高いからだといわれておりますけれども、その手数料についても明らかにしていただきたいと思います。

 以上で2回目の質問を終わります。


◎【坂本誠総務部長】
嘱託員の給与に関する御質問です。正規職員、それから嘱託職員の差を数値であらわせるかということですが、広範な仕事に対して責任や結果を求められる正規職員と、特定の分野でその専門性を生かし、職務に従事する嘱託員を、1つの基準の中で数値化をして比較するということは大変難しいものというふうに考えているところです。

 職務評価を導入すべきではないかということです。より客観的な評価手法として職務評価分析を行うことについては、意義のあることというふうに考えております。現在、その手法等について研究は行っているところでございます。

 それから、嘱託員について、昇給しないシステムがそれでいいのかということでございました。嘱託員につきましては、一定の能力を備えている方について、1年以内の任期で採用いたしておりまして、その一定の能力に対しての報酬額を設定しております。ということで、年が積み重なっても昇給はしない仕組みとなっております。もちろん、求める能力の質が高い職の位置づけが必要だとすれば、それに見合った報酬額としていくということにはなります。

 それから、男性の育児休業の取得向上へ向けての働きかけをということでございました。昨年度、特定事業主行動計画の見直しを行いました。本人や周囲の職員に求められる役割を明記するなど、子育てしやすい環境づくりに努めているところでございます。今後も、男性の育児休業の取得向上のため、育児参加意識を高められるよう、講習会等を行い、啓発をしていきたいというふうに考えております。


◎【菊谷文男こども家庭部長】
私の方からは、民間企業の男性の育児休業取得者をふやすための具体的な取り組みについて御答弁申し上げます。

 八王子市こども育成計画におきましては、子育てに関する休暇・休業制度の推進を施策目標の1つに位置づけております。市民、企業、行政などが協働して子育て支援策に総合的に取り組んでいきたいというふうに考えております。具体的には、子育ての重要性をアピールするために、企業に対しての啓発のためのリーフレットの配布、あるいは労働セミナーなどを通じました仕事と生活の調和の取り組み事例等の情報提供をいたしまして、育児休業制度の普及・啓発を行ってまいります。


◎【峯尾常雄市民活動推進部長】
パワーリバース債についてお尋ねをいただいております。順次お答え申し上げます。

 まず、評価損が出ていることについてどう考えるかということですけれども、確かに、8月末時点でも評価損というのは5,000万円ほど出ているところでございます。先ほども申し上げたかもしれませんけれども、この債券は運用期間中は為替レートの変動の影響を受けるところですけれども、満期時には元本の5億円が償還をされるところでございます。

 また、今回の運用は、短期間での売買によって利益を上げる、こうしたことを目的とするものではなくて、長期的な視点に立った運用でございますので、運用期間中におけるこの程度の範囲での評価額の変動の幅というのは、許容範囲ではないかというふうに考えているところでございます。

 それから、インフレのリスクということですけれども、確かに、長期間保有した場合のインフレリスクというのがございます。貨幣価値の下落が懸念されるところですけれども、インフレの進行というのは、一方では円安ですとか、金利高に振れる可能性もございますので、運用益の増加が貨幣価値の下落をカバーするというような構図も考えるところでございます。

 続きまして、途中解約の場合には、買いたたかれてしまうのではないかというような御心配ですけれども、先ほど申し上げましたように、発行者側に大変自由度が高い運用であることから、まず高い利益、配当益を生み出しているということが1つございます。

 それから、財政調整基金の例を先ほど申し上げましたけれども、基本財産というのは、それを直ちに取り崩して財源不足に利用していくとか、何かに消費してしまうとか、そういう性格のものではございませんので、当面といいますか、これは財団がある限りは取り崩さずに、保有するものですので、それを来年売るとか、今売るとか、そういったことではございませんので、今幾らになるかというところは把握をしていないところでございます。

 それから、契約書のようなものは、今お示ししているもの以外にないのかということですけれども、お示しをしました説明書に、お手元に渡っているかわかりませんけれども、ユーロ市場で発行される債券一般に関する説明ですとか、それから、一般に想定されるリスク等についての和文での説明書の交付等を受けているところでございます。  それから、投資格付のトリプルAの件ですけれども、確かに6月議会の折には、投資格付を、債券の格付と申し上げましたが、正しくは、御指摘のように発行体の格付でございます。正確さを欠く答弁でございましたので、その点はおわび申し上げたいと思います。

 発行体の投資格付は、債務の返済能力に対する格付でございます。国際復興開発銀行は、世界187ヵ国が加盟しておりまして、健全かつ保守的な運営方針と、それから良好な財務状況にあるといたしまして、格付機関より、償還能力が最も高い、いわゆるトリプルAという格付を得ているところでございます。こうした高い格付の国際機関が発行する債券でありますので、債券そのものの格付は示されておりませんけれども、債務の履行という点では、問題がないというふうに考えているところでございます。

 それから、手数料の問題についてもお尋ねをいただきました。財団が購入しました債券については、財団側としては取り扱いの証券会社に手数料は支払っていないところでございます。証券会社と発行者との間で手数料の取り決めがあるというふうに聞いているところでございます。


◎【40番井上睦子議員】
それでは、3回目の質問をいたします。

 まず、人間らしく働き生活するためにということでありますけれども、先日の質疑でも、若者の雇用を確保するために、正規職員の採用をふやすべきだとの意見がございました。私もそれは大変重要なことだとは思います。あわせて、正規と非正規の均等待遇、賃金格差是正に取り組むことは、業務委託や指定管理者で働く人々の正当な賃金をも保障するというようなことにもつながりますので、今、職務評価については研究をしている、関心を持っているという答弁でありましたので、八王子市としての職務評価という手法を開発し、ぜひとも賃金格差是正の取り組みを進めていっていただきたいというふうに思います。

 同一価値労働、同一賃金の実現に向けて、市も努力をすること、そして、そのことによって一般の民間企業にも広がっていくという作用を持つと思いますので、職務評価に対する関心の高さ、あるいは研究というような段階にあるとすれば、その手法をぜひ開発をしていっていただきたいというふうに、これは強く要望しておきます。

 次に、ふれあい財団のパワーリバース債の購入の問題についてであります。部長の答弁は、購入したことは正当であるのだと。5,000万円ぐらいの評価損は、これは許容される範囲だというような答弁でありました。そうなんでしょうか。先ほど御紹介しましたけれども、慶応大学では、今後は為替の仕組み債は当面凍結をする。そして、仕組み債は減少していく方向に変えました。東京大学は、やはり5億円投資をしているわけですけれども、これも今後は一切投資はしないというふうな方向に変えております。それは、評価損が出ることが、大学や企業体、公営企業体もそうですけれども、それにとっての健全な運営というものを損なわせるからであるというふうに思います。

 昨年6月の参議院財政金融委員会で与謝野金融大臣は、大学とか地方自治体は物がわかっているような顔をしていますが、やっぱりFX取引とか仕組み商品の取引とかは、本来はやってはいけないんだろうと思っております。証券会社も相手がリスクや覚悟を持っているのか。魅力的な商品に見えるものに潜んでいるリスク、金利のリスク、為替のリスク、仕組み商品が元来持っている特有のリスクをきっちり説明することが望まれると答弁をしています。

 財団が運用しているパワーリバース債は、20年の塩漬けリスクがあること、途中で売却しようとすると金融機関の言い値で買いたたかれる危険性が高いこと。このことは、どのような解約時の金額になるかという契約については明らかにされませんでしたけれども、サブプライムローンの問題のように、世界的な金融危機というのは、これからの金融の社会の中では不可避であり、保証の信頼性が揺らぎ、その仕組みが破綻をするという危険性もあります。このように、パワーリバース債などの為替仕組み債は、公益法人や地方自治体で運用すべきものではありません。

 基本財産の運用について、6月議会では、国の基準に従って運用しており、最も安全な運用方法の1つだと市長は答弁されていますけれども、先ほど指摘したようなリスクを抱えており、国会でも運用はすべきではないという答弁も出されております。再度、パワーリバース債の購入は正しい判断であったのだろうか。田中副市長にお聞きをしたいと思います。

 市はパワーリバース債を購入、運用しないという会計管理者からのきっぱりとした答弁がありました。この見解は正しいと思います。財団設立の基本財産として、市は5億円を拠出しています。ふれあい財団の組織運営の強化を求めてきた市として、財団のパワーリバース債購入決定に至る説明責任と情報公開、また意思決定のあり方、運用について、どのようにとらえているのか、お聞きをいたします。

 そして、今後は、為替仕組み債などの為替リスクのある商品の運用は行わないことなど、指導すべきと考えますが、田中副市長の御見解をお聞きして、質問を終わります。


◎【田中正美副市長】
学園都市文化ふれあい財団の基本財産の運用の仕方についての見解を求められました。パワーリバース債購入の理由並びに財団内における意思決定などの経緯につきましては、担当部長から御説明申し上げたとおりでございます。安全性については、二重の答弁になりますので、避けさせていただきます。

 債券の安全性に対する御質問者の御心配はごもっともなことでございます。債務履行能力に最も信頼性のある団体の発行の債券で、元本保証はもとより、この低金利時代に、これまで高い配当を得ていることも事実でございます。財団から私の方には、基本財産の運用について、財団経営の基本をなすものとの考えから、公認会計士等専門家の意見を参考としながら、より安全で効率的な運用に向けた指針を設定する、そういった報告が参っております。今後、御質問者に御心配をおかけすることがないように、適時・適切な指導に心がけてまいります。