◎【40番井上睦子議員】
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それでは、人間らしく働き生活するためにというテーマで、まず質問をいたします。
市の職員は、正規職員が年々減少し、非正規職員が増加してきているというような傾向があります。今年度は正規職員は対前年比マイナス64人の2,921人、再任用職員はプラス52人の162人、嘱託職員は今年度は86人減少して497人となっています。臨時職員は前年比マイナス160人で、ことしの4月1日現在では684人となっています。
私はこれまで何度も、正規職員を削減することは、若者の雇用や、働く人たちの雇用の場を縮小することから問題だと指摘をし、非正規職員との均等待遇、同一価値労働、同一賃金の実現を求めてまいりました。正規職員の平均賃金は年間757万円、嘱託職員の平均賃金は年間240万円となっています。正規職員は勤続年数によって昇給いたしますけれども、嘱託職員は昇給をしません。嘱託員の週勤務の時間は18時間から29時間という時間帯で、報酬は16万4,800円から27万6,000円までの中で、細かく職務によって規定をされております。
そこでまずお伺いをいたします。正規、非正規職員の賃金はどのように決まっているのか。非正規の賃金の根拠及び正規、非正規の賃金格差は、なぜこのように生じているのか、お答えをいただきたいと思います。
2点目として、非正規、嘱託職員の賃金は平均240万円ですが、これで生活が十分にできる賃金といえるのか、お伺いをいたします。
例えば、東京の標準世帯の生活費は1人で19万円、2人で23万円というデータがあります。もし、シングルマザーで、市の嘱託員として働いている場合は、十分な生活費とはいえません。嘱託職員の賃金は生活を十分に保障できる賃金と考えているのか、お伺いをいたします。
ILO100号条約は、同一価値労働、同一賃金原則の考え方を示しています。この原則の考え方は、職務が異なっていても、それぞれの職務の価値が同一であるならば、同一の賃金が支払われるべきという考え方です。この同一価値労働、同一賃金原則は、職種や職務、雇用形態が異なっていても、職務評価によって測定をされた同一価値の労働には同一賃金を、仕事の価値が異なった場合でも、価値に比例した賃金の支払いを求めるという原則です。市は、同一価値労働、同一賃金原則の考え方の意義をどのようにとらえているのか、お伺いをいたします。
さて、職務の価値を同一価値労働、同一賃金原則ということを以上のように考えると、職務の価値をどのように測定するかということが課題となってきます。欧米社会では、その測定方法として、職務評価という手法が使われています。厚生労働省は、パートタイム労働法の改正に伴う附帯決議、これは短時間労働者と通常の労働者との均等待遇の確保を進めるために、職務分析の手法や、比較を行うための指標に基づいて、内外の情報を収集しなさいという附帯決議がついているわけですけれども、それに従って職務分析・職務評価実施マニュアルという思考ツールを作成しています。このマニュアルは、まだ一例として取り上げられているものであり、問題も多く、労働者側の意見も反映されなければなりませんけれども、職務評価、職務分析の第一歩を踏み出したといえるものです。
また、第3次男女共同参画推進計画の答申においても、男女の賃金格差是正のために、職務評価の手法を研究するようにと明記をされました。私は、この職務評価が、同一価値労働、同一賃金を実現する方法となると考えていますが、市は、職務評価という手法をどのように理解をしているのか、お伺いをいたします。
次に、6月30日に施行された改正育児・介護休業法についてお伺いいたします。
この法律は、男性の育児参加を積極的に進めようとするものですけれども、これまで男性の育休取得は、厚生労働省が発表した昨年度の雇用均等基本結果によると、男性の育児休業取得率は1.72%で、決して高くはなっていません。市役所及び市内の企業において、男性の育児休業取得率、また進まない理由をお聞かせいただきたいと思います。
次に、安全な基本財産の運用についてお伺いをいたします。
まず、学園都市文化ふれあい財団のパワーリバース債の購入についてであります。このパワーリバース債の購入運用については、第2回定例会の諸報告で、私は為替リスクのあるパワーリバース債は財団の基本財産の運用として適さないと指摘をし、損益を出さないように、状況を見て安全なものにかえるよう求めました。そのときの市長の答弁は、これは国の基準に従って運用をしているわけでございまして、今最も安全な運用方法の1つだろうと思っております。20年後には100%戻るということと、運用益というか、配当分でそれを累計していけば、いつ売っても損失がない時期というものはあると思うんです。もし手放さなければならない時期があったとしても、その時期というのは見きわめられるんじゃないか、このように思っておりますという内容でありました。
また、担当部長からも、債権の格付も、いわゆるトリプルAということで、世界的にも最も信用度の高い債券の1つでございますと、安全な債券であるとの答弁でありました。
しかし、為替仕組み債について調べていく中で、やはり安全ではなく、自治体や公益法人が運用する債券ではないと考えますので、改めて質問をいたします。
学文ふれあい財団は、2008年度に基本財産の5億円をオーストラリアドルでパワーリバース債を購入しています。このパワーリバース債は、国際復興開発銀行の発行で、最初の1年間の利率は4.15%、次の年から上限利率は4%とし、円相場に応じてこの利率は変動していきます。すなわち、円安になれば、より高い金利を受け取ることができますが、円高になれば、金利は低くなり、0%になることも覚悟しなければなりません。20年満期で元本が保証されていますが、途中解約の場合、円高であれば元本割れとなり、その元本を大きく下回ることになります。
さらに、発行体側に早期償還条項が付与されており、為替レートが高くなったときなど、強制的に償還することができる内容になっています。
2008年度の利息収入は約2,000万円、2009年度は1,570万円となっています。しかし、円高によって2008年度は時価が4億1,795万円で、評価損益は8,205万円、2009年度では時価が4億3,495万円で、評価損益が6,505万円となっています。
そこで質問をいたします。円高がとまりません。パワーリバース債購入時のオーストラリアドルは87円でしたが、現在は何円でしょうか。
また、5億円の時価、評価損益及び利率を、現時点でわかっているようでしたら、お答えいただきたいと思います。
次に、パワーリバース債は複雑な金融工学を駆使して、高い利回りを実現する為替仕組み債と呼ばれるものですが、どのようになっているのか。どのような仕組みになっているのか、お答えください。私も本を読んでみましたけれども、これがどのような仕組みで、高い利率が最初保証されるのか。そのことの意味がわかりませんので、わかりやすく説明をしていただきたいと思います。
第2回定例会のとき、リスクについて質問しましたが、部長からは答弁がなく、また国債からの預けかえについては、2008年度第6回の理事会で議論をいただいて、了承を得ているとの答弁でありました。しかし、そのときの理事会の議事録を見ると、パワーリバース債購入についての説明もなく、ただ効率的な運用を図るとして、約1,000万円の収入増が説明されるだけで、理事会では一切議論になっていません。予算案を議決したことで了承となっているにすぎません。評議員会においても同様です。
私は、パワーリバース債購入に当たって、理事会や評議員会に十分な説明責任と情報公開がされたのか、大変疑問に思っておりますが、十分だったといえるのでしょうか。お答えください。
また、購入に当たってどのようなリスクの検討がされ、購入を妥当としたのか、その理由についてお聞きをいたします。
その際、監事の意見はどのような意見だったのでしょうか。証券会社からは、リスクについてどのような説明があったのか、お伺いをいたします。
私が質問するに当たって、契約書の資料提供を求めましたら、英文の価格サプリメントという資料と、A4、1枚の新光証券が作成した上限金利コーラブル型パワーリバース債のご案内、参考条件、このA4、1枚の部分は和文でしたけれども、という資料が出されました。英文は読めませんでしたので、和訳を求めましたら、財団には和訳がなく、証券会社に要求しても、証券会社としては、解釈に相違が出ると困るので、和訳はしないとの答えだったそうです。急遽、9月6日に財団で和訳をして、私の手元に届けられました。
この経過から考えると、契約書や確認書なども英文で交わされており、財団が正確に契約の内容を理解しているのだろうかという疑問が湧いてまいりました。英文でリスク検討などを詳細にできたのでしょうか。お聞きいたします。
次に、市にお聞きいたします。基金の運用は、安全に運用することが求められていますが、基金の運用方針についてお答えください。
ふれあい財団は、利率が高いこと、20年満期で元本が保証されるという理由から、パワーリバース債を運用しています。地方自治体がパワーリバース債のような為替仕組み債で運用することについての見解をお聞きいたします。
以上で1回目の質問を終わります。
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